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今更去年末の大洗旅行記 1日目まで

昨年末に行った大洗旅行の幹事さんがレポを書き始めたので私もそろそろ書こうかなあとか。
できない子の呑む旅 東北←→大洗&ビールの旅 1(幹事さんのレポ)

発端
幹事さんによる前回大洗のレポが楽しそうだったので秋田ビアフェスで行きたいと言い張ってみた。
因みにその時点でガルパン未視聴。
折角行くのだから見ておくか、とレンタルでTV版を見て、劇場にも足を運ぶ→ガルパンはいいぞ状態。

今回は泊まる宿とご飯は一緒に食べるけど基本的には自分でプランを考えて動くことになっていたため、ガイドブックと睨めっこしつつ行き当たりばったりで行動しています。
あとこの時点で新婚2ヶ月目でした。新婚旅行も行ってないのに1人で聖地巡礼旅行参加することを伝えても全く気にしてなかった夫に感謝。いや、新婚1ヶ月目に夫も1人で関西イベントに遠征行ってたからお互い行動を気にしない夫婦なんですけど。


1日目
今回行く大洗はひたちなか市に隣接していて、那珂湊駅からバスでも行くことができる。
それでもって私は那珂湊駅でどうしてもしたいことがあったので、常磐線で勝田まで行き、ひたちなか海浜鉄道を使って大洗に行くことに。
そんな感じで今回は大洗鹿島線には乗車せず。次回があれば乗りたいところ。

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ひたちなか海浜鉄道の駅名標は可愛い。
駅名標キーホルダー欲しい(グッズとして存在はしてるっぽい)
あとガルパンコラボの切符を買いました。折角ですしねえ。
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那珂湊駅で最初の聖地巡礼。
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シュッパツシンコウ・シサカンコの撮影地!
割と音ゲーマーは聖地巡礼が好きな気がします。面影橋とか大桟橋とか。

ところで最近同じ駅で撮影した駅猫のワルツが出ましたね。シュッパツシンコウ・シサカンコMVのついでに撮ったのだろうか?

また行かねば那珂湊。

駅の撮影をして事務所で切符特典の缶バッジをいただき、最初の目的地を目指します。

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干し芋です。
夜にはライトアップされるようです。
以前テレビで見かけていつか絶対に見に行こうと思っていたので、この機会に見ることができて嬉しい。
このモニュメントがある大丸屋はガルパンのひたちなか出身キャラとコラボしたほのぼの作戦の協賛店舗なので、店舗には後ほど寄ることにします。


那珂湊駅最寄りのゲーセンです。
勿論聖地の近くでシュッパツシンコウ・シサカンコを選曲するためですよ!
幸い午前中なので待ちはなくすぐにプレイできました。自己満足。

帰り道さっきの大丸屋で干し芋を購入。紫芋と赤い芋。どんな味かな?
丸干し芋も小さいのを買いました。丸干しは美味しいけど食感とか甘さに差があるので好みじゃないと大変だし。

那珂湊周辺でやりたいことが済んだので駅まで戻り、バスの時刻表をチェックして、よし歩くか、と決断しました。
東京生まれですからね。待つくらいなら歩きますよ。
幸い大洗まで迷子になるような道じゃないし。


やめておけばよかったな、と思ったのは大洗町に入った後でした。
晴天で12月にしては高すぎる気温。日光を遮るものがない海沿いの道。
そして空腹。
なんとか観光情報センターまで着いた頃、ようやく現在位置を把握。
そして初めて遭遇するキャラパネル。
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いきなりマイナーな子。

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なんだか近くに山村暮鳥の碑があるっぽいので行ってみることに。
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新井素子のグリーン・レクイエムに詩が出てきたことから気になって詩集を漁った暮鳥先生、大洗に所縁がある人だったんですね。

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うろうろしていたら大洗磯前神社まできてました。
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鳥居が崩壊してます。東日本大震災かな?

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境内には巨大な絵馬。
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奥の方にちらっと見える建物かっこいい。

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この階段は映画で見ましたね。降りていくことにします。

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ちょこちょこパネルを回収しつつ、めんたいパーク着。
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遅めのお昼ご飯はここで食べることに。おにぎりうめえ!

その後も海岸沿いをてくてく。
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フェリーターミナルも作中によく出てきましたね。

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そして大洗まいわい市場。なんか色々売ってますがまだ初日なのでチェックだけしてアウトレットモールのほうを覗くことにしました。
2階にある大洗ガルパンギャラリーを目指していると途中に気になる展示が。
東日本大震災直後に撮られた大洗の写真展でした。
さっきまで歩いていた道はあの日こんなに被害を受けていたのかと、今日までの町の努力を実感します。
よく考えれば茨城南部の夫の実家も、茨城に隣接した茂木町にある母の実家もあの日は家屋損傷するような被害を受けたのです。
海沿いのこの町の被害は写真で見るだけでも胸が詰まります。
今回は町でなるべくお金を使おう。私が楽しんで町のためにちょっとお手伝いができるなら、ちょっと嬉しい気がする。そんなことを考えて展示スペースを出ました。
あの写真展はもうやってないかもしれないけれど、このタイミングで見ることができて良かったです。

ガルパンギャラリーを一通り見て、商店街を目指すことにしました。
茨城県北の子がおすすめはみつだんごとか言っていたなあと思い、とりあえずそれを目指すことにします。
この辺りからちらほらとガルパンさんを見かけたような気がします。女の子もいるけどカップルや男女グループばかりで、女の子同士とか女の子1人とか見かけない。
30過ぎの女1人で聖地巡礼してる私はちょっと不安になってきましたよ。

キャラパネル回収しつつ、通りかかった梅原洋品店でガルパンのロンTを買いました。
これが大変着心地が良くてですね、もう1枚買っておけば良かったと今でも思ってます。部屋着に良し、コミケに良し。

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みつだんご発見。
素朴な味でした。あんまり団子感はない。

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同行者たちの予想到着時刻よりもかなり早く旅館に着いてしまいました。
朝から11kmほど歩いているのでこれ以上散策する気になれず、だらだら到着を待つことに。
夕方になると流石に冷えてきますね。同行者たちが着く頃にはすっかり冷え切っていました。
彼らは映画に出てきた小学校に行ってきたそうです。うらやま。
その近くのビール醸造所にも行っていたようです。超うらやま。

今回は総勢7人。私以外は全員男性なので、私だけ広い部屋に1人で宿泊です。
しかも私の部屋の階に客室は1室だけ。なんだこれ、貴賓室か。
夕飯は客室ではなく宴会場みたいなところで一緒でした。良かった!

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メインイベント。あんこう鍋です。
でもあんこうよりウニに夢中でした。
ウニ嫌いなんですよ、生臭くて。なのにこの日並んでたウニ、すっごく美味しかったんです。
臭みもない、あ、新鮮だってわかる味。この日からウニ食べられるようになりました。良いことだ。
あんこう鍋は知ってるあんこう鍋とかなり違いましたね。あんこうのだしのうまいことうまいこと。
しかし量が多い。男性でもちょっと大変な量ですよ。美味しいけど食べられなかったの悔しい。

ここでもうひとつ心残り。
旅館で注文できる日本酒リストに、その年の正月友達の集まりで幼馴染が持ってきて飲ませてくれた美味い茨城の酒があったんです。
1人じゃ飲みきれないし、この旅館にあるなら近隣の酒屋にも取り扱いがあるかもしれない。買って帰ればいいかと思い、頼まずにいたのですが、全く売ってませんでした。
東京じゃ売ってるところまだ見付からないし(幼馴染は石岡市のふるさと納税でもらったそうだ)、あのとき飲んでおけば、とまだ後悔しています。

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食後は麻雀卓を借りて深夜まで麻雀してるのを見てました。
旅館で麻雀とかベタだけど全然やらないねえとか言いながら。
他の人も初体験だったみたいでキャッキャしてた気がする。

1時過ぎに部屋に戻って就寝。
そういや男性部屋で麻雀するより私の部屋でやったほうが同じ階に客室ないから良かったかもしれない。
どうせ1人だし、荷物も少ないし。

1日目で結構な長さになったので中断。気が向いたら続きを書きます。

「はじかみ」 第104回フリーワンライ お題:「スパイスをきかせた恋はいかが?」

「どうしてこんなこともできないの? いつまでも私が手伝っていられないっていうのに」
「ごめんね涼ちゃん」
「大体要領が悪すぎるのよ」
 出来が良くて面倒見が良くて、ちょっと辛口な幼馴染みの涼ちゃんは、いつもなんだかんだ言いながら私の作業を手伝ってくれる。
「式は明日でしょ。寝不足なんて絶対できないんだからもっと気合い入れて手を動かして」
「うん、ありがとう。頑張るよ」
 包んでも包んでも終わりが見えなかったドラジェは涼ちゃんの介入により漸く希望が見えてきた。
 明日は私の結婚式だ。本当はもっと早く終わってないといけない作業だったのに、私はいつもこうだ。
「……こうしてると夏休み最後の日みたい」
「無駄口叩く余裕はあるのね」
「あ、ごめん」
「いいわよ。超優秀な私が手伝ってるんだもの、必ず目標までに終わらせるんだから気にせず喋って頂戴」
 確かに涼ちゃんの両手は超高速で動き、正確に美しくドラジェが包まれていく。
 本当にあの頃みたい。
 私は昔からとろくて要領も悪くて、毎日夏休みの宿題をやっているはずなのに、夏休み最後の日には宿題が大量に残っていて、七月中に日記以外の宿題を終わらせた涼ちゃんが毎年助けにきてくれていたのだ。
「私も涼ちゃんみたいになりたかったな」
「あなたには無理よ」
「そうだね」
 生まれながらの出来が違うとしみじみ思う。だけど嫉妬はしない。だってこんなに駄目な私に今も付き合ってくれるなんて超良い子だもん。
「大体今日これを手伝うべきは新郎じゃないの? どこ行ってるの?」
「独身最後の夜だから友達と飲みに行くんだって。結婚したら今までみたいで自由じゃなくなるからって」
「良いご身分だこと」
 涼ちゃんは賢いから、私の考えの及ばないところで私の結婚相手を良く思ってないらしい。
 付き合うのも結婚も相手に言われるままで私がなにも決めてないんじゃないか、って。
 私としてはなんでも向こうが決めてくれるのは優柔不断な私に合ってるんじゃないかしらと思うのだけど。
「あ、すごい。あんなにあったのに、もう終わっちゃった」
「私が手伝ったんだから当然でしょ」
「本当にありがとう。そうだお礼に夕飯食べてってよ。お母さんに言ってくるから」
「花嫁修業の成果は見せてくれないの?」
「それはねーまだ頑張ってる最中かも。また今度ね」
「その今度って何年後かしら」
 涼ちゃんは料理も上手いから、どんなに修行しても自信を持って料理を出せない気がする。
 しかもおしゃれなんだよね。私のは本当に家庭料理って感じだし。
 小さな食卓を涼ちゃんと囲む。これも夏休み最後の日の風物詩。
 今日のメニューは本当に簡素なものだ。結婚式の前日でお母さんもばたばたしていたから、昼の煮物の残りとご飯、お味噌汁。それから佃煮と漬け物。
「はじかみがかぶってる」
 そんな食卓を見て涼ちゃんが一言そう言った。
「え、はじかみは一つだけだよ」
「料理のはじかみはこの漬け物よね。でも実山椒の佃煮もあるでしょ。山椒のこともはじかみって呼ぶのよ」
「そうなの?」
「日本古来の口に入れて辛いものの総称なのよ。生姜も山葵も辛子も全部」
 涼ちゃんは物知りだな。
「端っこだけ噛むからはじかみなのかと思ってた」
「小学生みたいなことを言うのね」
「じゃあ涼ちゃんもはじかみなの?」
 じろり、と睨まれる。涼ちゃんの辛口をはじかみに例えるのは駄目だったみたい。
「美味しいし、爽やかだし、私ははじかみ好きだけど」
「……私もよ」
「涼ちゃんのことも大好きだよ」
「そこは同意しないわ」
 やっぱり辛口。
 びっくりするくらい普段通りの夜で、思い出話とかもっとしんみりするものだと思ってたけど、こういうのも悪くない。
「もし結婚が嫌になったら連絡しなさい。嘲笑いに行ってあげるから」
「うん」
「そのときは今日以上に食卓をはじかみだらけにしてあげるわ。あなた辛口が好きみたいだし」
「うん」
「私だって暇じゃないんだから早めにしてよ」
「わかった」
「あなたのわかったって信用ならないのよねえ」
 普段通りの幸せな夜だ。独身最後の夜にはちょうど良い。
 そんなことを考えてにこにこしていたらはじかみを口に突っ込まれた。
 今夜もぴりっと辛いのね。

「素敵な縁結び」 第102回フリーワンライ お題:「太陽に憧れる星」

 人間程良いのが一番いいのだと思う。
 程良く美人で程良く善人で程良く賢い。
 程良い人間の周りには人が良く集まってくる。
 周囲を程良い陽気で暖かくする、彼女は太陽のような人だ。

 程良くない人間は、遠巻きにされる。
 劣っていても秀でていても人は寄ってこない。
 夜空に輝く白い小さな星は、太陽よりも大きくて太陽よりも熱い。
 生き物に恵みなんて与えない独りぼっちの星だ。

 友達になれたらいいな、と思う。
 あの太陽みたいな子なら受け入れてくれるんじゃないだろうか。
 だけど私の白い熱はあの子を燃やしてしまうだろう。近付かないのが賢明だ。
 今日も遠巻きにあの子を見ているの。


 休日は通帳と睨めっこ。
 働けばお金は貯まるけれど、使い道はない。
 まだ未成年で家族と同居しているし、服もお母さんが買ってくるのを着てるくらいでこだわりはない。
 友達でもいれば遊びに使えるのだろうか。
 そういうときにあの子の顔が浮かぶのだ。話したこともないのに。
 どんなファッションが好きなのかな?
 お気に入りのカフェはどこ?
 休日を費やしてしまうような趣味はなに?
 恋みたいだね。片思いだけど。

 少し考えて文房具を買うことにした。
 大人になっても使えるような、ちょっといいやつを買おう。
 銀座のお店に行けば色々ありそう。色がきれいで重心が低い筆記具が欲しいかもしれない。


 月曜日、何故だかクラスでひそひそされている気がする。
 昨日買った新しいペンが不格好に見えて笑われているのかもしれない。
 寸胴で重心低くて、ちょっと高いけど保証付きのいいペンなんだけどな。首から提げることもできるし。

 火曜日、何故かぼっちの私に少し人が寄ってきた。
 どうやら誰かがペンの値段を調べたらしい。試し書きさせてほしいと言われた。
 なんだか嫌な感じだったので断った。

 水曜日、あの子まで寄ってきた。
 他の人と同じように試し書きさせて欲しいと。この子以外なら迷わず断るのに。
 迷いながら曖昧に言葉を濁す。

 木曜日、またあの子がやってきた。
 どうしても使ってみたいのだと言う。
 私は、あの子の笑顔を私に向けて欲しかったの。

 金曜日、体育から戻るとペンが消えていた。
 不用心だったと言われればその通り。高額で無くしたら困るものを持ってきていた私が悪い。
 あの子は私のところへ来なかった。
 ペンを無くした私に用は無いのだろう。



 土曜日、街外れのカフェで書き物をするあの子を見かけた。
 不用心にもほどがある。あのペンはこの街では売っていないのに。
 夢中になってスマホのシャッター音にも気付かない。

 月曜になったら、あの子の友達になってと言いにいこう。
 そして私は太陽に寄り添う星になる。
 きっと骨も残らないくらい、傍にいてくれるよね?

「土に溶ける素材」 第98回フリーワンライ お題:「クローン」

 ある日クローンが合法になった。
 自分自身のクローンは自分が責任を持って養育すること、というルールの上で。
 まず喜んだのは大学教授と科学者だった。例え自分が死んでも同じ頭脳がいつまでも自分の研究を引き継いでくれる。
 次に喜んだのは跡継ぎに恵まれない一次産業に従事するもの。都会へ出て行ってしまった子供の代わりに自分が跡を継げばいい。
 それなりに高額であったにも関わらず、一度目の募集はすぐに予約でいっぱいになった。

 それから二十余年、今度はクローンが自らのクローンを作ろうと動き出した。
 オリジナルが持っていた知識や経験を若い脳で吸収したクローンたちはみな優秀で、次世代のクローンを作ろうと考えることは自然な流れであった。

 ところがクローンがクローンを作ることに反対するものたちが出てきた。
 それはオリジナルが残した実の子供や孫たち。
 いつまでもオリジナルが生きているようで気持ち悪いと言い出したのだ。
 勿論クローンたちはオリジナルではない。外見や適性は引き継いでいても、全く別の人格であり、自分たちのオリジナルを敬愛し、クローンであることを誇りに思っていた。
 だからこそ問題はいつまでも解決しなかった。
 遺伝子上は骨肉相食み、他人以下の感情で争い、双方矛を収めることはなく、やがてクローンたちは勝手に自らを複製し、子孫たちはクローンが生まれる前に施設を破壊した。

 オリジナルが残したかった知識も経験も捨て、クローンは争いの知恵をねじ込んだ。
 子供が死に孫の孫の代になっても理由を失ったまま、クローンを排除し続けた。

 やがて知識と経験と最初からクローンを必要としなかった人類が息絶え、文明を維持する技術が失われても、彼らは争いながら最期まで和解することなくやがて滅びた。



 破壊を尽くした末の破滅は記録すら失われてしまう。
 新しい文明が生まれるころ、僕はもう跡形もなく消えてしまっているだろう。
 もう思い出せない。僕はクローンだったのか子孫だったのか。クローンの子孫だったかもしれない。クローン施設の機械だったかもしれない。

 栄華を極めて雑に滅びた文明は優れたリサイクル社会だったので滅びても自然に優しい。
 教訓も過ちも何一つ大地に残さない。

 願わくば次の文明はもっと愚鈍でありますように。

「悪の組織わたわた」 第86回フリーワンライ お題:「彼の枕」

「腕枕ってあるじゃない。あれってやりたがる人多いけれど寝にくいよね」
 へーそうなんだーと聞き流す。
 生憎そういった経験は無い。腕枕なんて現実にあるんだね。
「わかる。高さが合わなかったり」
「枕専門店で高さと柔らかさのカスタマイズできたらいいのに」
 きゃっきゃと盛り上がる友達を尻目に、枕専門店に男性が入店し、改造されて出てくるところを想像する。
 わお、とっても悪の組織っぽい。
 きっと腕以外にも彼女向けにカスタマイズされてしまうに違いない。
 ということは彼女が悪の組織の総統になるのか。
「彼の脚で膝枕もしたりするの?」
 ふと気になって聞いてみる。
「ああ、あれも人によってはいまいちだよね。ちょっとお肉あるといいんだけど細い男の人だと硬くって」
「枕にするならお肉あったほうがいいよね」
 つまり悪の組織では太腿も改造されるようだ。
「他の場所は?」
「えーお尻とかお腹とか、胸板とか……ってなに言わせるのよ。興味なさげな振りして非道い」
「気になっただけだし」
 お腹もお尻も胸板も綿を入れられてどんどん想像の彼氏がぬいぐるみと化していく。いや、ぬいぐるみは枕にはしないか。
 しかし男性を改造して綿だらけにするって、弱そうな悪の組織だ。攻撃力殆ど無いじゃん。
 でも真綿で首を絞めるって言葉があるし、精神攻撃に秀でているのかも。
 ふかふかの体で抱きしめて、正義の味方を眠らせて、やる気を奪っていくと考えたら強いような気もする。
 実際この時期の綿のものはとても心地良い。
 半纏も、こたつも、布団も。
「……布団は対人類最終兵器だった?」
「え?」
「いやなんでもない。寝心地求めるなら布団と付き合えたら最高なんだな、と思っただけ」
「あーそうねえ、布団と結婚できたらいいわー」
 この世界のどこかには彼氏たちを枕や布団に改造し世界征服を企む彼女たちがいるのかもしれない。
 そして気が付けば日常が布団と枕による心地良い眠りに冒されているんだ。
 征服の目的が思い浮かばないけど。
 なんて、莫迦なことを考えてランチタイムを終える。
 リア充な友達たちはまだ彼氏の話で盛り上がっている。

 いつか私にも彼氏ができたら本当に綿を詰めて改造してみちゃおうかな。これで私も悪の総統の仲間入りだ。
 ……それより枕を彼氏にするほうが手っ取り早そうだけど。
プロフィール

イマイマイ

Author:イマイマイ
へたれゲーマー。最近はもっぱら家庭用。
本命はテクニクビート。愛してます。

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