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「弟は一生姉に逆らえないのかもしれない」ぱるメロ!フラットとルリカ #音ゲー深夜の小説一時間勝負

 その日、見るからにどんよりとした空気をまとわせて、フラットがため息をついていた。
「どうしたの、そんな顔して」
「昨日友達から借りたマンガに横暴な姉と姉に一生逆らえない弟が出てきて、大人になってもこうなのかと思ったら色々やんなってさ」
「あー」
 フラットにはお姉さんがいて、仲は全く良くないらしい。
 聞いただけの話だけど、傍若無人で短気ですぐ弟を殴り、家事能力が壊滅的で特に料理では何度も生死の境を彷徨う羽目になったとか、ある意味実在を疑うマンガのような人物なんだけど、マンガひとつでこんなにテンション下がるってことは実在するんだろうなあ。
「オレ、一生ねーちゃんにパシリにされたり、好きな女の子をダシに無理難題ふっかけられる気がしてきた」
「いやでもお姉さんだってそのうち結婚して弟離れするんじゃないかにゃあ」
「見てくれは兎も角あの性格と家事能力で結婚できるわけがない」
 男子中学生にそんなこと言い切られてしまう姉ってどうなんだろ。
「まだ好きな女の子とかいないんだし、奇跡を待って希望を持って生きるしかないね」
 フラットとは同じ歳なので色々雑談はするけど、恋愛に関する話は全く話したことがない。
 コイバナなんて女友達とするものであってわざわざ男子としないし。
「いや一応、好きな人はいるけど」
 だからフラットがそういうことを言うとは思ってもみなかった。
「うっそ、彼女いるの? 片思い? ルリカの知ってる人?」
 思わず食い気味に質問してしまう。
「女ってこういう話好きだよなー」
「にゃはは、いいから早く教えてよ」
 フラットはしばらくもごもご口が滑っただのなんだと言って、それから意を決したように顔を上げた瞬間視線がぶつかった。
 もしかして相手はルリカなの?……なんて思う間もなくそのまま視線は移動して背後へ。
 視線を追いかけて振り向くとアンバーとカシアラさんが楽譜片手に音を合わせて睦まじく遊んでいた。
「ちょっと、フラットってそっちの趣味だったの? アンバーってまだ七歳だよ」
「バカ、そんなわけないだろ」
「だってそこにはアンバーとカシアラさんしか……カシアラさんなの? なんで? 年上でしょ?」
 思い込みかもしれないけれど姉を苦手と豪語するフラットがかなり年上のカシアラさんを意識してるなんて信じられない。年上の女性はみんな苦手なんだろうと漠然と思っていたから。
「だって美人で優しくて、自分のことを全然話さないミステリアスなところもいいっていうか」
「意外過ぎたにゃあ」
 そして絶対にフラットの片思いで終わるだろうなあ。カシアラさんが優しいのは誰にでもだし、いつもべったり貼り付いてるアンバーがカシアラさんに接近する男を許さない気がする。
「あとねーちゃんに負けなさそうなところ」
「つまりお姉さんと正反対の性格で、お姉さんに負けない人がいいってこと?」
「オレじゃねーちゃんに勝てないからな」
 姉を基準に人を好きになるのもある意味シスコンじゃないかなあと思ったけど言わないでおく。
「フラットのコイバナなんて期待して損したにゃ。まだまだお子様ねー」
「なにがだよ、わけわかんねえな女って」
 弟は一生姉に逆らえないのかもしれない。フラットを見てるとそんなことを思う。
「いいのよ気にしないで。ほらカシアラさんにアタックするならまずはアンバーに気に入られないと。人を射んとせば先ず馬を射よ、って言うでしょ」
「お、おう」
「好きになった理由は兎も角、ルリカはフラットを応援するからね!」
 背中を押して見送って、きっと成就しないフラットの憧れを見守りながら密かに作戦をたてることにした。

 まずは強烈なお姉さんに勝てるくらい、ルリカも強い女の子にならないとね。
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「オランジュショコラ」IIDXタルト&タフィ #音ゲー深夜の小説一時間勝負

 やっとあなたを嫌いになれたの。


 メニルモンタンの街角で私の服を着て私の彼と仲睦まじく歩くタフィに出会ったの。
 そのとき私はタフィの服を着てタフィの彼と腕を組んでいたわけだけど。
 男たちは顔を青くして組んでいた腕を振り払ったり、距離を空けたりしたけれどそれはもう手遅れね。
 こんな倒錯的なデートを受け入れた時点でお互い様なのだから。
 提案したのは私だけど別にタフィの彼に興味があったわけじゃないわ。これはただのひまつぶし。
 きっとタフィもそうなのだろう。私たちは二人でワンセットなのだから。
「男の趣味の悪さもそっくりね」
 軽く自虐するように声をかけてあげる。
 それなのにタフィから返ってきたのは予想とは全く違う言葉だった。
「どうして?」
 心配になるくらい真っ白な顔で、拳を握り締め、タフィが私を睨みつけた。
 睨みつけた?
 タフィが私を?
「どうしてってタフィあなた変よ」
「変なのはタルトでしょ」
 タフィがなにを言っているのか全くわからない。
 私たちは同じことをして、ただ偶然街角で出会った。それだけのことでしょう?

 服の貸し借りはいつものことだから特に気にせずタルトの服を着て私は外に出た。
 こないだタルトが学校でプティフールを褒められたととても嬉しそうだったから、ちょっとしたお祝いのプレゼントをしたかったのだ。
 キッチン雑貨のお店で偶然タルトの彼に会ったから、タルトが喜びそうな雑貨を二人で探したんだけどその店はイマイチで。坂の上にもっとセンスがいいお店があるよ、とタルトの彼が言うから案内してもらうことにしたわ。
 街の名前がそのまま空に移ったみたいに、外はどんよりして今にも雨が降り出しそう。
 そんなときよ、タルトが私の彼と腕を組んで歩いてきたのは。
 私とタルトはそっくりだけど、瓜二つじゃない。
 ただそっくりなだけの二卵性双生児よ。だから髪の色も好きなものも違うの。いくら私の服を着ていたって私の彼と腕を組んでいたって、タルトは私じゃない。
「そこは私の場所だったのに」
 もうあれは私の彼だった人だから、二度と納まらない場所だけど。
「タフィがなにを怒ってるかわからないわ。教えてくれない?」
 タルトは私の個の人格を見てくれない。ずっとそうだった。タルトにとっては私もタルトなんだわ。
 幼いころはそれでも良かったけれど、私はもう違う人格なの。
「私は、タルトがその人と腕を組んでいたことにも怒っているけど、私をタフィという一人の人間として見てくれないことに今絶望しているの。私はタルトじゃない。あなたとは別の人間なのよ?」

 気が付くと雨が降り出していた。
 タフィは雨に濡れながら私を一瞥もせずに坂を下っていった。
 残ったのは私と二人の男たち。
 タフィの彼じゃなくなった人のことは放っておいて、私の彼に詰め寄ると、どうやらタフィと彼は偶然店で会っただけらしい。
 私へのプレゼントを探してたんですって。
 それから彼も私の彼ではなくなるみたい。それはまあ仕方ないことね。
 私も雨に濡れてしまったことだし家に帰ることにしたわ。帰り道でオランジュショコラを買わないと。帰ったらきっと二人とも無言でコーヒーを飲むから甘くて少し苦いものが必要なの。
 きっと私には今のタフィの気持ちがわからないから謝ったりはできないけど、それでもタフィを大切に想っているって伝えなきゃ。


 やっとあなたを嫌いになれたの。どうせ許してしまうと思うけど。
 嫌いになれたのは、私もあなたを別の人間だとはっきり認識できたからなの。
 タルトもそろそろ帰ってくるだろう。きっと甘いお菓子をお土産にして。
 だから乾いたタオルを用意して、コーヒーを淹れるお湯を沸かして待っていよう。
 嫌いでも大切な家族であることには変わらないのだから。

第48回フリーワンライ お題:「間違い」

 いつも間違えてしまうの。
 この人の好きなもの、この人の嫌いなもの、この人の奥さんの名前。
「随分と気が多いんだな。一体誰と間違えているんだか」
「あなただけしか知らないわ」
「いつもお前は嘘しか吐かないな」
 嘘吐きはどっちだろう。
 少なくとも既婚者という身分で外に女を囲うこの人に私を罵る資格はない。
 そう思っても私は反論しない。私はこの人がいなければ生きていけないから。
 私は黙ってグラスに大きめの氷をひとつ。それからシングルモルトウイスキー。
 この人はそんなに強くないのに、かっこつけなのね。すぐに酔って寝てしまうの。
 寝てしまったら起こさなきゃ。
 小さい氷をくわえたまま唇を寄せる。吐息ですぐに溶けてしまうわ。だってこんなに熱くなってるもの。
「ねえ、ねえ起きて。寝てしまったんでしょう?」
 彼はぱちり、と声をかけてすぐに目を覚ます。
「おはよう。ああ、あいつは本当にいつも馬鹿だな。飲めない酒をあおって最高の女を逃すんだから」
「私はあなたに会いたかったから、この人が眠ってしまうと嬉しいわ」
 私が好きなのは、この人の中のもう一人。誰も知らない彼だけが私の愛しい人。
「あの馬鹿がお前をただの愛人として扱うのが許せないだけだ」
 私は間違えない。彼の好きなもの、彼の嫌いなもの、そして彼の奥さんは私。
「あなたがここにいてくれればいいの。夜はまだまだ長いわ」

 私を抱くこの体を胸から切り裂いたら、この人の中にいる彼を見つけ出せるのかしら?
 愛を囁くこの口から脳までを切り裂いたら、隠れた彼を救い出せるのかしら?
 一緒の夜はいつもそんなことを考えてしまうの。
 こんなの間違ってるかしら? 狂ってるかしら?
 朝になればまた彼はいなくなる。
 この部屋に入ってきて出て行くのはいつも彼じゃない人。
 いつかいつかその人を精神的に殺そう。この部屋に入ってくるのは彼だけでいい。
 それが間違った行動でも、優しい彼とずっと一緒に居られるならば。
 これから先もあの人のことを間違え続けてやるのよ。
 そうしていつか心を殺してしまえ。

「エトワールアンジュ」ポップン美結・氷海 GL要素有 #音ゲー深夜の小説一時間勝負

 ある日突然、その麗しい人は私の世界に現れた。
 教会のステンドクラスに描かれた天使様のように清らかで、夜空に輝くお星様のように美しい人。
 初めて会ったその瞬間、このまま時間が止まってもいいとすら思えたの。
 この憧れにはもうなにひとつ割り込むことができない。
「会長、議事録のまとめが終わったのでチェックをお願いします!」
「いつも早くて助かるわ美結さん」
 ときに澄み渡って冷たく見える美貌で微笑まれるたび、早鐘を打つ心臓に気付かれたくなくて、気付かれたくて。

 同性の先輩に憧れることなんてよくあることだよね、なんてクラスメイトは言うの。
 みんな会長のこと好きだって言うの。
 長い髪も高い背も冷たい美貌もよく通る声も、素敵だって言うの。
 でも私はいつも、そうじゃないって、言いたくなって口を噤む。
 みんなの憧れと私の憧れはきっと違う。でも口に出してもわかってなんてもらえないわ。
 あの人の役に立てたらどんなにいいだろう、そして私を一番可愛がって欲しい、できればずっと隣にいたい。
 生徒会室で一緒に過ごす時間がいつまでも終わらなければいい。
 ここでは私だけしか知らない会長を見られるもの。

「美結さんのいいところ? そうね、いつも努力と工夫をしていて偉いと思うわ。それに書記になるだけあって字が丁寧でとてもきれいね」
 会長はそんなことを言うけれど、私を可愛いとは言ってくれない。
 でも、可愛いと思っているかなんて催促するように訊くなんてとてもはしたないことよ。
「いいところを教えて、だなんて突然どうしたの? なにか悩みがあるなら、私で良ければ相談にのるけれど」
「……努力家だとか字がきれいだとか、会長のほうがもっと努力していて、会長のほうがずっと達筆で、全部敵わないんです。会長みたいな完璧な人になりたいけど私には無理かもって」
 転校してきてすぐ生徒会長になってしまうような優秀な人だもの。
 なにかひとつでも会長に敵うものが私にあれば、ずっとそばにいることが許されるかもしれないのに。
「私だって完璧じゃないわ。思わぬ失言で人を傷つけることも、友達に助けられることもある普通の人間よ」
 友達、という単語に胸が少し痛む。
 私よりも会長のそばにいられる人たち。私よりずっと会長と親しい人たち。
「会長は、どうしてあの人たちと友達なんですか? みんな会長とは違うタイプなのに」
「どうしてかしら? 少なくとも友達って考えてなるものではないからわからないわ。でもとても大切だし、みんなには自分の背中を預けられる、そう思うの」
「私も、会長に背中を預けてもらえるようになりたいんです」
 思わず言ってしまった後、会長の顔を見るのが怖くて俯いた。
 なんて醜い八つ当たりだろう。こんな私は会長のそばにいるのに相応しい人間じゃない。
「あら、私は美結さんにも背中を預けているわよ?」
「えっ」
「表に立つ私を影から支えてくれるのは美結さんや他の役員よ。背中にあなたがいるから私は安心して仕事ができるの」
 面を上げるとそこにはとても美しい微笑み。
 子供みたいなすね方をしたのに、どうして会長はこんなに優しいんだろう。
「いつもありがとう。これからも頼りにしているわ」
「はい、頑張ります」

 あなたは天使様のように清らかでお星様のように美しく、とてもとても手が届かない人。
 いつか私の手の中にあなたの背中を全部感じられるように頑張りますから、どうかこれからも私を見ていてください。
プロフィール

イマイマイ

Author:イマイマイ
へたれゲーマー。最近はもっぱら家庭用。
本命はテクニクビート。愛してます。

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