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「madrugada」のこと


11/23のコミティアで創作文芸:*.jpを始めて20冊目の本が出ます。
http://sousakubungei.blog.shinobi.jp/Entry/55/
本の概要は上のURLから。スペースは「の08b」です。

私は「madrugada」という作品で参加しています。
なんとなく思い入れが強い作品なので多少つらつら書いてみようかと。

まずこの作品は三部作の一番最後でした。
前の二部を書いたのは約10年前。10年構想だけあって書けなかった作品が今回の「madrugada」なのです。
とはいっても前作なんて読んだ人殆どいません。完全に自己満足の世界です。
10年のうちに考えていた設定も、登場人物の性格も変化し、もしかしたら別物なのかもしれませんが、10年前の力量では描けなかったものを書き上げることが出来たのでいいんです。

「madrugada」は祖父母の世代に起きた正体不明の大災害により陸地の半分以上が水に沈み、因果関係はなさそうだけど死に至る病が何故か滅び、原因不明のへんてこな奇病が現れ、死ににくくなった人類は繁殖力を徐々に失い、あと二世代ぐらい先に滅びるんじゃない? なんて、人類の滅亡さえどこか他人事の世代に現れた人類を救うかもしれない塔子が、親友である城子の彼氏に「城子のための料理」を教える話です。

10年前の私は塔子の心を救う話が思い付かず、その頃考えていたエンディングは15thに寄稿した「特別扱いされた量産品の話」で流用してしまいました。
というか今になって塔子を書くなんて思いもしなかったんです。
水夜さんと一緒に始めたこのサークルも今年で10周年になりました。人も増えて規模も大きくなって、原作者としてプロデビューする人も現れたりしました。
20冊目という記念に書く話を模索しながらしみじみと10年も経ったと思ったときに、それなら10年書けなかった話を書こうと決めたのです。
私の中にずっと住んでいた塔子はこうして外に世界に旅立ちました。
心のつっかえが取れて嬉しい反面、離れていった寂しさもあって、いつかまた彼女たちを住まわせるんだろうなあと感じています。

「madrugada」は夜明け、という意味です。
書いている最中にタイトルが二転三転しているときに好きな曲のムービーを見て、曲名をいただくことにしました。

書き上げてから改めてムービーを見るとぴったりだったなと思います。多少イメージが引っ張られている気もしますが。


私の作品だけではなく、今回の20thは通常よりページ数も増え、力作が多いです。
連休の中日ですが多くの人に手にとってもらえたらな、と思います。
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第25回フリーワンライ お題:「告白当日」

「今日、告白しようと思うの」
 放課後聞かされたそんな言葉に、興味なさげな相槌をうってあげる。
「いつも同じ電車の同じ車両に乗ってるし、高校も近くだし、彼女もいないらしいから、きっと私が彼の運命の相手なんじゃないかしら」
 そんな調子でいつも振られているのに、この女の子はいつまでも諦めない。
 彼女のへこたれなさを羨ましいとも、痛々しいとも私は思う。
 別に魅力がないわけではない。充分愛らしい容姿をしているし、明るく前向きでにこにこしているような子だ。
「上手くいくといいね」
「応援してくれてありがとう」
 でも彼女はバカなのだ。
 私の心がこもらない言葉にだって気付きやしない。
 人の上辺ばかりを見て、世界は幸せだと信じきっている。
 私は彼女にいらつく。
 世界はそんなに幸せではないし、人の心は醜いのだと、どうして私は彼女に言えないのだろう。
 傷付けたくないなんて思ってもいないのに。
「成功したらお礼をしなくちゃね」
「いらないわそんなもの」
「お礼って大事なのよ? ありがとう、これからもよろしくね、って続いていくものなんだから」
「したければ、すればいいと思う。私は望まないけど」
 そう言うと彼女は微笑んで、唇を重ねてきた。いつもの苺のリップの香りがする。
「じゃあ前渡し」
 唇に残った彼女のリップを拭う。苺に脳を侵食されてしまう前に守らなければ。
「いつもしてることがお礼なの?」
「だってそれしか知らないもん」
「だから噂になるのよ。遊び人だとか淫乱だとか、近くの高校ならきっとその彼も噂を知ってるんじゃない?」
「知ってても受け入れてくれるかもしれないわ」
 そんなことはきっとない。
 男子高校生にそんな彼女を受け止める度量なんてあるわけがない。
 なのに彼女はバカだから信じているのだ。
 王子様を、彼女を認めてくれる人の存在を。
「誰とでも寝る女が純情な恋をしたっていいじゃない」
「……そう」
 人が喜ぶことをそれしか知らないだけなのだ。
 きっと今日も振られて彼女はここに帰ってくる。泣きもしないで次の恋を探すのだろう。
「上手くいったらお礼に寝てあげる」
「いらないって言ってるでしょう。私はあなたと寝たりなんかしたくないから」
 私はきっと恋なんてしないし、誰かと寝たりなんてしない。
 いつか彼女の目が覚めて傷付くその日を見届けて、一緒に絶望したいだけ。
「じゃあ頑張ってくるね」
 今日の彼が天地がひっくり返るくらい彼女を罵ってくれたらいいのに。
 教室を出て行く彼女を見送りながら、今日も私は天に祈った。

第24回フリーワンライ お題:「コスモス」

――……昭和記念公園のコスモスが満開をむかえ、多くの人達で賑わっています――
 ラジオから季節感のあるよくあるニュースが聞こえてくる。
 映像がないからどんな風景なのかはわからないけれど、一般的な花畑を想像すれば大体そんな感じだろう。
「知ってる? コスモスって外来種で固有種の敵だって」
「それはそうだね。どう聞いたって日本の名前じゃないし」
 とはいえ秋桜なんて名前を貰って、敵視されることもなく愛されているとは思うけれど。
 ゆらゆらと風に揺れ、準日本風の景観にも問題なく溶け込み群生する。いつか外来種であることなんて忘れ去られてしまうだろう。
「私、コスモスって嫌いなの」
「可愛い花じゃない?」
「群れてなくちゃ貧弱で見るに耐えない草よ」
 肯定も否定もする気がなかった。群れるのがコスモスだ。
「外来種は君の敵なの? それとも、群れていることが君の敵なの?」
 コスモスを嫌いとのたまった彼女はこちらを向いてぎゅっと口を結んだ。
「君が嫌いなら、私もそれを嫌いになってもいいよ」
「私は、嫌いよ。全部嫌い」
「教室で群れてる子も、今朝君の机の上で咲き誇っていたコスモスの花瓶も、外来種と忌み嫌われる君も、暢気なニュースを流すラジオも、こうやって君を追い詰める私も、全部嫌い?」
 迷いなく頷く彼女を私は好きだなと思う。
 彼女を輪から除け者にした全てのクラスメイトのお陰でこうやって過せることが嬉しい。
 拾ったラジオのお陰で彼女と話せたことが嬉しい。
 彼女が私を無視しないで嫌ってくれたことが嬉しい。
「じゃあ、この宇宙はこれでおしまい。コスモスも君も世界も全部滅びれば君は私を好きになってくれる?」
「それでも、嫌い」
「どうもありがとう」

 こうして、少女の純真と宇宙とコスモスは仲良く滅びていったのです。
 ラジオだけはどういうわけかずっとなにかを受信していたけれど。
プロフィール

イマイマイ

Author:イマイマイ
へたれゲーマー。最近はもっぱら家庭用。
本命はテクニクビート。愛してます。

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