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第15回フリーワンライ お題:「海辺」「ヤンデレ」

 目を閉じて、恋人の頬をいつものように舐めた。
 汗と潮の味がする。
 くすぐったがって私を押しのけようとする本気じゃない腕には負けない。
 あなたをどんどん取り込めば、私あなたになれる気がするのよ。
 海辺の町からバスに乗って山の私まで会いに来てくれるだけで感謝しなきゃいけないって本当はわかってる。でも早くあなたにならないと、私嫉妬でおかしくなりそうなの。
 学校にはどんな女の子がいるの? その子は私より可愛い子? 本当は私より好きなんじゃないの?
 離れているから妄想してしまう。
 唯一信じられるのはいつもと同じ潮の味。海辺の町の潮風をそのまま吸い込んだような匂い。
 いつか私もこの匂いのする女になるのだ。恋人に手を取られ、山を下りて、故郷を懐かしく思いながら好きな人と暮らす。想像するだけで幸せな気分だ。
 段々潮の味がしなくなった頬から耳へと舌を移動する。
 恋人の可愛い悲鳴が耳に心地いい。
 もう抵抗の意思がない腕に、荒く上下する胸に、声を漏らす唇に私は懸命に絡みつく。
 全部全部味わって、私はあなたになって、あなたが私になればいい。そうすればずっと一緒にいられるじゃない。

 突然苦味を感じたのは鎖骨を舐めているときだった。
 思わず舌を離し、目を開けて確認する。
「怪我、してたの?」
 絆創膏の形の日焼けがそこにあった。
「うん」
「……そうなの」
 傷跡一つ無い絆創膏の日焼け跡。
 舌先で感じた苦さが胸いっぱいに広がった。こんな苦さは認めないから全部舐め取ってしまおう。
 嫌がっても痛がっても、苦味を感じなくなるまで私は止めない。
 きっとすぐ、あの潮の味を口いっぱいに味わえるはずだもの。
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イマイマイ

Author:イマイマイ
へたれゲーマー。最近はもっぱら家庭用。
本命はテクニクビート。愛してます。

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